占いの種類と使いかた
これをお読みのみなさんのなかには、占いについて関心がおありで、すでに様々ご存じの方もいらっしゃるでしょう。
この記事のタイトルに、今さらな感じを抱く方もおられるかもしれません。
ですが占いは人類が文字を発明して、いろいろな事を記録する前から存在した技術です。
科学が生まれるはるか前から存在していたものでもあります。
現代人の我々が何となく「占いってこんなもの」というイメージを持っているとしても、いざ言葉ではっきりと「占いとはどういうものか」を言い表そうとすると、漠然としてとらえどころがないものですから、ここであらためてご説明させていただいて、これから占ってみよう、占ってもらおうとなさるみなさまがより良く占いをお使いになる一助となればと存じます。
ですので、たとえ話が多くなることをどうかご容赦くださってお読みいただければと思います。
占いは、主に3つの種類に分けられています。
命術、卜術、相術の3つです。
占い師のプロフィールには、得意とする鑑定内容が挙げられ、その隣には占術が並んでいるものですが、これら3つの種類のどれにあたる占術かが明示されていることはあまりないでしょう。
例えていうと、体の具合が良くないので診察してもらおうとして、医師のプロフィールを見たとして、診療科の隣に検査方法だけが並んで書かれているようなものです。
循環器科で、X線、血液検査、心電図とあれば、専門家でなくともどういう検査かはわかる、MRIやCTも知ってはいる。
これがカテーテル検査やトレッドミルテストや24時間ホルターやアイソトープとなると、何をどうやって何がどうわかるのかわからなくなってくる。
医師の説明を聞くか、ネット検索で調べてみるかしなければ、不整脈の有無を判断しその原因を見つけるための検査だとはわからないでしょう。
占いが3種類に分けられるとして、いったい何がどのように違うのか?
命術とは、主に生年月日や生まれた時刻や場所に基づいて結果を導く占いです。
四柱推命、占星術、九星気学、マヤ暦占いなどがそうです。
生年月日も時刻も場所も、一生変わらないもの。
そこから鑑定できる内容も、一生変わらないものとなります。
同じ生年月日、時刻、場所から占われるなら、結果も同じになる。
したがって命術で占えるのは、その人の生まれながらのもの――気質や性質、一生涯の運勢。
医学にたとえるなら、遺伝子検査ということができるでしょうか。
身長が高かったり低かったり、血圧が高かったり低かったり、疾患にかかりやすかったりそうでなかったり、ほかにも性格的特徴まで遺伝子検査でわかるといいます。
ですが、必ずそうなることを予言するものではありません。
身長が高くなる遺伝子を持っていたとしても、十分な栄養と睡眠をとらなければ伸びないかもしれません。
高血圧の遺伝子を持っていたとしても、十分な栄養管理と運動によって平均値を保てることもあるでしょう。
可能性の大小としての結果、であるのです。
占いの命術もこれと同じで、生まれながらに恋愛に浮ついたところのある人だ、とされても、そうした環境になければ浮気をするとは限りませんし、金銭に真面目な人だと出ても、うっかり宝くじに当たって浪費癖がついてしまうことだって絶対にないともいえないのです。
したがって、命術は「将来の可能性を見るもの」であり「傾向を読むもの」であって、良い結果であれば実現するための手立てを、良くない結果であれば回避するための手立てを導くための占術である、ということができます。
他方、卜術というと、タロットやオラクルカードなどのカード占い、易占、ルーン占い等、主に道具を用いて、偶然そのとき表われたものを基にして鑑定する占いです。
カードを混ぜて、繰って、1枚、2枚、3枚と並べてゆく。
筮竹を引き、分け、引いて分けて、数える。
ルーン文字を刻んだ石を袋に入れ、1つ、2つ、3つと取り出してゆく。
占うたびに異なるカードが、本数が、石が選ばれるので、結果もまたそのとき限りのものですから、同じことを半年後に占う場合、1年後に占う場合はもちろん、翌日でも、朝と夜とでも違う結果となります。
血液検査やX線検査のように、そのときそのときの状態を見る検査にたとえられるでしょう。
これもやはり、予言ではありません。
血糖値が高くとも、糖質を控え、血糖値の上がりやすい食材をできるだけ避け、有酸素運動をすることで、平均値まで下げることが可能です。
骨折が見つかれば、湿布をし、一定期間固定し、徐々に動かしてゆくことで、元通りに回復可能です。
卜術でもたらされる結果についても、良い結果を確実にするための、あるいは良くない結果を実現しないため、仮に実現してしまったとしても最小限度に抑えるための方法もまた、鑑定できるということです。
また、血液検査では、今のままだと今後どんな問題が出てくるかを予測することができます。
占いにおける卜術でも今の状態のままであれば、つまり現在の延長としての未来を見ることができます。
時間が経てば経つほど、自身の行動や相手の周囲の人たちの変化によって結果が少しずつ移り変わってゆきますので、3ヶ月から半年後くらい先の未来といえるでしょう。
相術は目に見える形からその人の気質や性質や運命あるいはその物の吉凶を占うものです。
手相、人相、家相などがこれにあたります。
対象物自体を鑑定するため、偶然によって結果が変わることはありません。
ですが対象物自体が変わることがあります。
手のひらの線、文様、眉の形、ほくろの大きさ、家の構造は変わりうるので結果も変わりうるということです。
顔色や皮膚の状態、骨格などを医師が目で見て診断する視診に例えると、イメージしやすい占術であるでしょう。
以上、3つの占術について、どう使うのがよいのか。
それはまず今、何を知りたいのかが肝心であるでしょう。
これから先のことを知りたいとして、それは1ヶ月後なのか、半年後なのか、10年後なのか。
一生のことなのか。
そして、その結果を変えたいのか。
変えようのないことを知りたいのか。
知った上でどうするのか。
――こうしたことを考えてゆくと、命術、卜術、相術のうちのどれを選び、どう組み合わせるとよいのかがわかってくることでしょう。
もちろん、占い師に直接訊いてみてもよいでしょう。
その際には、何についてどれくらい先のことを見たいのか、結果を知ってどうしたいのかを伝えたなら、占い師が最適の占術を選び、しかるべき手立てをも導き出してお教えすることでしょう。
占いは技術です。
現代の科学の常識に照らすと、わからないことのあまりにも多い、不可思議なものではありますが、何かを知り、何かを為すための道具であり、知識であって、使ってこそのものであるには違いありません。
その意味では、医学にたとえても決して的外れではないのです。
そもそも、占いは人間の最古の知識体系であり知恵であって、その一部が後に分岐して医学になったのですから。
おおもとの占いにしたって、医学のようにより良くより正しくより人間の幸福に、自分自身のさらなる幸福にかなうように用いられるべきものなのです。
このコラムが、これから占ってみよう、占ってもらおうというみなさまの、少しでもお役に立てたなら幸いです。
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